この時代に知る「身近マーケティング」入門

損益分岐点(BEP)の計算

Post2009.10.20    Categoryプロコン

8月から地元(滋賀県)企業の経営診断・指導を行っている。

旅館・飲食及びレジャーを行っている企業で年商は1億5千万円ほどである。
現在は経営分析、経営診断をしてそれに基づき改革の方向付けを提案しているところである。

業種がら季節指数の変動が激しいので、それに合わせた人事管理(要員の流動性)が経営のポイントとなっている。
要員の流動性を図る最も有効な手段は、年間変形労働時間制をとることであるが、その導入には従業員の理解と納得を得なければならない。

その理解と納得を図るとき、数字としては損益分岐点売上高を使う。
損益分岐点は英語でbreak even point であり、BEPとも略される。
文字どおり損失と利益が同じ点であり、収支トントンの売上高を言う。



損益分岐点売上高の計算は 固定費÷(1-変動費率)で求める。
すなわち固定費を限界利益率で除するのである。

しかし日常管理されている財務会計では、費用は固定費と変動費に区分(固変分解)はされていない。
だから損益分岐点売上高を計算するために、各勘定科目を固定費と変動費に区分けする必要がある。勘定科目法と呼ばれている方法である。
この方法は固変分解の基本的方法ではあるのだが、例えば人件費は通常固定費としているが、詳しく人件費を調べると売上高が増加すると残業が増え、アルバイト等を入れ対応するので、変動費的要素もかなり含まれているのである。
このようなことは人件費に限らず他の勘定科目でも同じことが言え、勘定科目法はかなり曖昧な固変分解の方法であると言わざるを得ないのである。
当然損益分岐点売上高の計算自体も曖昧になってしまう。



そのことを解決するのが統計的手法を用いた固変分解であり、最小自乗法と呼ばれる手法を用いるのである。

最小自乗法の一般公式 @Σy=aΣx+nb AΣxy=aΣx・x+bΣx
(y:総費用 x:売上高 a:変動費率 b:固定費 n:要素数(ここでは月数))
を使用する方法である。

月度毎の売上高(x)と総費用(y)を一覧表にして売上高計(Σx)と総費用計(Σy)を算出する。
尚、総費用は月間経常利益がプラスであれば売上高から引いて出す。マイナスであればプラスすれば出る。

さらに売上高の二乗の総和(Σx・x)と売上高と総費用を掛けた数値の総和(Σxy)を計算する。

Σx、Σy、Σx・x、Σxy、の4項目が計算できれば、前述の最小自乗法一般公式にその数値をあてはめて、後は連立方程式によりaとbを解き、固定費(a)と変動費率(b)を確定する。
これにより 損益分岐点の公式 固定費(a)÷(1-変動費(b))に代入して
月間損益分岐点売上高を算出するのである。



最小自乗法で計算するには、エクセルで月度毎の売上高(x)と総費用(y)の一覧表を作成すれば、総和(Σ)はすぐ計算される。
又「グラフウイザード」をクリックして、「散布図」、タブキー「系列」、「追加」をクリックしてxとyの数値の範囲指定して「完了」、プロット点で右クリックして「近似曲線追加」「OK」「線形近似」で自動的に作表され、aとbが算出される。

エクセルを使えば極簡単に損益分岐点売上高は計算できる。








経営診断と改革の方向付け

Post2009.09.23    Categoryプロコン

今回はNew Category「プロコン(経営コンサルタント)」で、タイトル「経営診断と改革の方向付け」で述べたい。
経営改革を進めるにはいろんなアプローチの仕方があると思うが、私が最も納得しているストーリーを紹介させていただく。



経営改革を進める時は通常、経営診断→改革の方向付け→中期経営計画作成→全社員周知徹底→実践→検証 と言うプロセスで進められるのだと思う。


「経営診断」では、まず財務報告書(決算書)のB/SとP/Lに基づきCF計算書を作成する。
中小企業経営の最大の課題はやはり資金繰りなのである。手元流動資金をいかに潤沢に確保できるかなのである。
だからCFの動きは特に正確に把握する必要がある。

又、決算書(=申告ベース)のB/SとP/Lから実態ベースでのB/S(時価B/S)とP/Lを作成する必要もある。
これはデューデリと呼ばれるような厳密な内容の作成ではない。
例えば、資産価値のない科目(例えば電話債券、前払費用等)の償却、土地の路線価での再評価、法定どおりの減価償却費の計上、水増しのない正確な棚卸資産計上 等々をして実態ベースでのB/SとP/Lを作成するものである。
特に中小企業の9割は財務報告書は調整(悪く言えば粉飾)していると言われるため、改革の方向付けを誤らないためにも必要な作業である。

この2つの作業をベースにして、収益性、生産性、安全性等を診断する。



そして「改革の方向付け」である。
経営改革の要諦&基本スタンスは「売上高は現状維持を確保しつつ経費削減で対応する」ことである。
売上高向上の無理な努力より、それは維持しつつ、経費の削減努力に全力を挙げる方が即効性があり、改革の実現性も確実性も高いのが通例である。
但し縮小均衡に陥らない注意だけは常に心がけなくてはならない。

「改革の方向付け」のポイントは数字で明確に示すことである。
2つの要素(内部留保:手元流動資金額と有利子負債削減:借入金返済額)から年度毎の必要CFがいくらになるかを明確にすることである。
内部留保は少なくとも月間売上高の2か月分、有利子負債の削減では無借金経営が望ましいことは言を俟たない。

「次年度経営計画」は「改革の方向付け」で明確にした年度毎の必要CFを最終利益(税引き後利益)として、営業利益、売上総利益と遡っていくのである。
売上高は現状維持なのだから、売上原価及び販管費をいかに削減し、必要CFを確保するかになる。
各科目毎に現実的な削減を考えて明確にする。
具体的な施策はこのようなプロセスを踏むと自ずから出てくるものである。



そして「中期経営計画」の立案と進む。

経営者及び社員は中期経営計画の最終年、すなわち改革完了の年の数値を見る時、自社が優良企業に生まれ変わった姿を想像し、何とかこの経営改革はやり遂げなければ…!と思うものである。このことが経営改革のモチベーションになることは言うまでもない。


誤解があるといけないので断っておくが、「経営計画」はあくまでも経営者自身が自ら立案する類のものである。
プロコンはあくまでもアドバイザーとして、サポーターとしての存在なのである。


「改革の方向付け」についてもう少し詳しく具体的に説明させていただきたいのだが、紙幅の関係で無理なようだ。
機会があれば又話させていただきたい。
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