社会科学とマーケティング
2011.02.28
社会科学3学問
「マーケティング」と言う言葉の響きにはオシャレな感覚が、以前(30年以上昔)にはあったように記憶するが、最近はごく普通の学問の印象である。
マーケティングとの言葉は、1902年アメリカのミシガン州立大学が発行した紀要(大学が定期的に出す研究報告書)の中で初めて使われた。
その後、ペンシルバニア大学、ウィスコンシン大学で「marketing of product」の講座名で授業が持たれるようになり、学問として大学の講座に現れるようになった。
最初のミシガン州立大学で初めて言葉が使用された時から数えても、100年余りであり、新しい学問だと言える。
前々回で述べた経営学については「企業の業績や効率性を高める研究をする学問」と指摘したが、マーケティングも同じように企業の業績向上が目的とする学問に違いない。
ただマーケティングは経営学と比べ研究するスタンス、アプローチにおいて、市場と企業のかかわり方を深く究明しようとするものである。
すなわちマーケティングは「企業の市場への接近法」だと言える。
AMA(アメリカ・マーケティング協会)は、2007年、マーケティングの定義を「マーケティングとは顧客、得意先、取引先、そして広義では社会世間に対して価値を提供するための、創造、コミュニケーション、配達、そして交換に関する活動、仕組みづくり、プロセスである。」とした。
マーケティングで代表な学者はやはりフィリップ・コトラーだと思う。「コトラーのマーケティング・マネジメント」「コトラーのマーケティング・コンセプト」「非営利組織のマーケティング戦略」等の著書が有名である。
もう1人、代表的学者としてマイケル・ポーターを挙げることができる。
5つの競争要因(five force model)、価値連鎖(value chain)等はマーケティングを学習するとき、必ず目にする内容である。
少し蛇足だが、最近、特に話題となった図書の一つである「もしドラ」は、奇をてらうようなマッティングで読者を増やしたと思う。
硬いイメージのピーター・ドラッカー著の「マネジメント」とと、自由で伸びやか、柔らかいイメージの女子高生をマッチさせ、元放送作家の岩崎夏海氏が一風変わったマネジメント本として著した。
図書名「もし高校野球の女子マネジャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら」は販売部数100万部を超えたと言う。
ピーター・ドラッカーは世界的有名な経営学者であり社会学者でもあった。もちろんマーケティング学者としても有名であった。
社会科学と経済学
2011.02.23
社会科学3学問
経済学は社会科学のカテゴリーに入っているが、少し異質だと思っている。
確かに人間が構成する市場を研究する学問でありその意味において社会科学だと言える。
しかし、それを分析する道具(学問)は数学、特に統計学が多用されるのである。
経済学の授業を進める時、まるで数学の授業を行っていると錯覚するときがある。
そんなとき、経済学は理科系の学問であるなぁ・・・とつくづく思ってしまう。
この学問の特徴的なこととしてもう一つ、モデル化手法を用いることが挙げられる。
研究の対象となる一国経済全体の現象は非常に複雑であり非常に大きすぎるため、それを直接分析することは至難の技となる。
そこで現実の経済を単純化したモデルを仮定してそれを分析することで学問究明するのである。
このような研究手法をとるため、経済学は現実と乖離する場面も多々発生する。
例えばミクロ経済の家計の消費に関する選好(好み:preference)においては、人々は単調性(monotony)と推移性(transitivity)と言う性質を持つことを前提条件にして研究をする。
単調性(monotony)とは「リンゴ1個食するより10個食する方が全体としての効用(満足度:utility)は高いものである。」と前提することである。
これがないと効用について数理的な論理展開ができないのである。
しかし現実のことを考えると、リンゴを1人で10個も食べられるわけもないし、もし食べられたとしてもむしろ苦痛であり、その人の全体の効用としては低下しているはずである。
推移性(transitivity)とは選好に堂々めぐりはしないということである。
ある人のりんご、バナナ、いちごの3種類の選好を考えたとき、一番好きなものはいちごであり、2番目がバナナだとするとき、必ずいちごはりんごより好きだ! とすることである。
いちごとりんごを比べる時はりんごが好きなんだとなると、選好に堂々めぐりが発生してしまい、合理的な論理展開は不可能なのだ。
ただ、人間の好き嫌いというエモーショナルな部分は常にファジーであり、対象となる財が多くなればなるほど選好に堂々めぐりは発生しがちになるものである。
経済学の特徴を少し述べたが、数理的な論理展開を旨とする経済学は、そのことにより、よりロジカルでアカデミカルな学問として成立している。
だから、学問を教える立場からすれば、とても教えやすい学問であり、学生に納得感を作りやすく、授業は進めやすい!と思って楽しんで授業を行っている。
社会科学と経営学
2011.02.15
社会科学3学問
今月は社会科学系学問の代表とも言える経営学、経済学、マーケティングについて私の思うところを述べたい。
社会科学とは人間社会のさまざまな面を研究する学術分野である。
学問の目的は社会の有益性を追求する、すなわち社会を構成する人類の有益を追求することであり、そしてそれを科学する、すなわち客観的に真実、真理を追求することである。
古くは哲学で一纏めにされていたが、時代を経るごとに専門分野毎に学問として体系化されてきたのである。
人間社会を研究対象としているので、それぞれの学問は学際的な内容を多く含んだものとなっている。
蛇足的に言えば、現在の社会科学系全ての学問を包括した学際的内容としているのは社会学(sociology)である。
社会学の研究対象は人間社会の全てであり、いわば「何でもあり」の世界で研究のテーマ設定ができるのである。
話を本題に戻そう。
まず経営学であるが、文字どおり「経営を研究する」学問である。
研究対象は経営、すなわち「企業」という特定領域を対象にしている。
そしてその特定領域の組織体が、いかにすれば業績や効率性を高めることができるのかを明らかにしようとする学問が経営学だと言える。
経営学の黎明期の代表理論としてはテーラーの科学的管理法、ファヨールの管理過程論、フォードの総合同時的管理論がある。
そして有名なホーソン実験の人間関係論(メーヨー、レスリスバーガー)へと続く。
現在は行動科学的管理法が中心となっている。
それは、モチベーション理論とリーダーシップ理論に分かれる。
モチベーション理論はマズローの欲求段階説がコアセオリーとして発展してきた。
欲求段階説を肯定し発展した理論にはハーズバーグの動機付けー衛生理論、アージリスの未成熟ー成熟理論等がある。
逆に否定する、すなわち人間の欲求の画一性の否定から論理展開をするブルーム、ポーター&ローラーの期待理論はコンテンジェンシー理論と呼ばれている。
リーダーシップ理論はレビンのリーダーシップ類型論から始まり、ハーシー&ブランチャードのSL理論まで発展的に展開されてきた。
日本では高橋伸夫東大教授が、一体化度指数、無関心度指数を使い組織活性化の程度を表現するアイデアでリーダーシップ理論を発展された。
高橋教授は、現在は成果主義人事制度を否定する第一人者としても有名である。
著書として「妄想の成果主義」がある。